島の暮らしと風景

和ろうそくを作りたい。

甑島の森はほとんど紅葉することはないのですが、秋以降に山道を歩くとハゼの木だけが赤く紅葉して目を引きます。薩摩藩では江戸時代中期頃から盛んに栽培されるようになったらしく、甑島でも樹脂を取る目的で多く植えられたと中甑島の爺様に教えてもらいました。ハゼの木はその樹液に触れるとかぶれてしまうので今ではあまり皆に歓迎される存在ではありません。このハゼの木に生る実はその中果皮に高融点の脂肪があり木蝋として抽出され和ろうそくの主な材料として使われてきました。薩摩藩の大事な収入源ともなり慶応3年のパリ万博にも出品されたらしい。以前からこの実を使って和ろうそくを作りたいと思っておりましたが、やっと重い腰が上がってこの秋の空いた時間を使って回収を始めました。ちょっと歩けばたくさんあるのですが木が育ちきっていて安全に採れる高さの木が少ないので時間をかけて集めないと。とりあえず収穫した実。小枝がついたまま、まず乾燥させます。小枝を取って種だけの状態にしてもっと乾燥させます。1年くらい寝かしたほうがいいとの情報もありますがそんな気長には待てません。目標重量まで到達にはもう少し時間がかかりそう。カラスやヒヨドリに全部持ってかれる前に集めないと。和ろうそく作りの道は険しく遠い。楽しい作業(すり潰しや圧搾)はもう少し先になりそうです。